角田光代 『 空中庭園 』

どっちの本も1つの家族を6人の視点から描かれている。「空中庭園」が現代の家族だったら、「星々の舟」は昭和の家族といったところかな。一見普通の家族に見えるけれど、中にはいろんなものが渦巻いているというのが共通したところ。「星々の舟」のほうが、兄妹の禁断の恋や、戦争の傷跡を引きずる祖父、といったドラマチックな内容が盛りだくさんで、「空中庭園」のほうは“何でも隠さず話ましょう”という家族のモットーの下、絶対知られたくないことを個々にひた隠す話です。どちらも違った感じで面白かったです。